最も歴史のあるアート・ケルン、頂点であるアート・バーゼルから、アジアにて急激に成長を遂げた ART HK、一昨年始まったばかりながら活況を呈しているヤングアート台北に至るまで、今やその数は全世界で 400 を超えるといわれ、世界中のギャラリストがビジネスチャンスをつかもうと、その出展にしのぎを削っています。
国内においてもアートフェア東京は言うまでもなく 、アート大阪 、アートフェア京都、 +PLUS に 、国内の頂点であるG-TOKYO、今年スタートしたアートナゴヤと、枚挙に暇がありません。
御周知の通り、アートフェアの出展単位は基本的にギャラリーです。法人単位、と言っても良いでしょう。殆どが自らの取り扱い作家をグループ展で並べ、販売する、という形式です。一方で大型のフェアの一角で若いアーティストが個展形式での展示販売をある種イベント的に展開する、という方法も数多く取られています。
そうした中、この企画である「ウルトラ」はこれまでの方法から一線を画すアートフェアです。「ウルトラ」は法人を出展単位としません。また、アーティストの個展もその旨としません。
Q.ではその単位は?
A.ディレクター。
「ウルトラ」はディレクター個人をその出展単位とする事で、美術が本来持っているであろう、「個」の力を作品から、また展示から、またマーケットから引き出すという目論見のもと企画されます。ディレクター=オーナー=ギャラリーなのだからこれまでのフェアと同じではないか?という意見もありましょうが、責任の所在を個人に移行する事で生まれる、心理的な効果は、いつものアートフェアとはまた違った空気を生み出すでしょう。更に、一つのギャラリーから複数のディレクターが出展する、という事も「ウルトラ」は歓迎します。
さらに、出展ディレクターの年齢制限を設けます(出品作家には設定しません)。美術業界の活性化という観点からも若い世代がその表現の場を持つ事は大変に重要な事です。一方で、オープンから何年以内、という事では、画廊がくるくると入れ替わる、目新しいだけのフェアという、逆説的に保守的なフェアになるだけで、未来に残せるものにはなりません。
同じ画廊から、若いディレクターが先輩の助言のもと新しい世界観を生み出す、またそのディレクターが独立し、ウルトラ、またより上のグレードのフェアに参加する、そんな状況こそが、より良いマーケット構築につながるものと考えます。
こうした事から年齢制限の力を利用し、常に若々しく、常に瑞々しいフェアの継続を図るものです。
昨年から「ウルトラ」は 2 会期制となっています。会場はスパイラル 1 階、スパイラルガーデン。入場は無料です。
前期である「オクトーバー・サイド」にてはオープニングパーティを開催し、後期「ノヴェンバー・サイド」最終日にクロージングパーティを行います。ここでは会期中にお客様から集計した「ベスト・ウォール賞」と、最も売上げの多かったディレクターへの「ベスト・セールス賞」を発表します。(ウルトラ 003「ベストウォール賞」は幕内政治氏、「ベストセールス賞」は結城加代子女史) 受賞者は 2012 年に予定される「ウルトラ 005」での無審査・最低コミッションの免除の権利
を副賞として授与されます。
エコロジー、コスト削減の観点から、カタログの出版は致しません。当日はお客様に案内パンフレットを無償でお渡しする形をとります。
ウルトラはその語源であるラテン語の、「〜の彼方に、〜を越えて」のように、新しいアートフェア形式の提言と形成、それによって新しい形での美術マーケットの体力増強を、その旨としています。
エマージング・ディレクターズ・アートフェア「ULTRA004」
フェアマネージャー
池内務
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